2019年12月2日相手を意識する
ベーシックコースの1回目は「人に好かれよい人間関係を築く話し方」として、挨拶とともに日常会話の講義を行っています。
「おはようございます!」
「こんにちは!」
という挨拶だけで終わらせてしまっては、人間関係は改善しません。
せっかく挨拶を交わして会話のきっかけができたのですから、挨拶の後にぜひ日常会話を続けたいものです。
日本話し方センターでお伝えしていることはすべて、なぜそうするのかという理由が説明できる、ということを以前のブログで書きました。
日常会話にも、それを行う理由があります。
日常会話を行う理由は「親しみを深め、よい人間関係をつくる」ためです。
挨拶に続いて、日常会話=雑談が弾めば、その人との距離感は確実に縮まるでしょう。
ところが、この日常会話が苦手だ、という人がとても多いです。
なので、ベーシックコースでは1回目に会話をスムーズに行う秘訣をお伝えしています。
その中で、私がこれが最も重要だな、と思っていることがあります。
それは、「相手中心」ということです。
会話をする相手が興味を持てそうな話題を提供し、相手にできるだけ話しをしてもらい、その話をきちんと聞く。
すべて相手を意識して会話を進めることで、よりよい人間関係が築けていけます。
ところで、この「相手中心」という概念は、コミュニケーションに関することすべてに極めて重要な要素です。
私が過去に学び、自ら研修も実施しているロジカル・シンキングやファシリテーションなどでも、「相手中心」は大前提になっています。
相手がどういうことに興味があるのか
今何を考えていているのか
話をするテーマに関する知識レベルはどの程度か
などを適切に把握しないと、噛み合ったコミュニケーションは取れません。
2~3年前、あるマンションのエレベータに乗ったとき、「此処で小便をせぬやう」という張り紙を見たことがあります。
達筆な筆文字で書かれていました。
でも、この張り紙を見ておしっこをするのを止めて欲しいのは、せいぜい7歳くらいまでの幼児です。
彼らがこの張り紙を見ても、筆文字はとても読めないでしょうから、書き手の意図が伝わっているとはとても思えませんでした。
また、デービッド・アトキンソン氏の著書「新・観光立国論」によると、観光地にある海外からのお客様向けの英語の解説が、日本語の解説をそのまま英訳してあるものだったとのことです。
しかし、海外から来た人は「IEYASU TOKUGAWA(徳川家康)」と書かれていても人名なのか、地名なのか、植物の名前なのかわからない。
「MEIJI ISHIN(明治維新)」と書かれていても同様にちんぷんかんぷん。
なので、これらの固有名詞をきちんと解説することから始めないといけない、といった趣旨のことを氏は述べています。
これらは、相手のことを考えられていない例ですが、我々はよほど意識しないと相手のことを考えているようで考えられていない、ということを示しているように思います。
少し話を広げてしまいましたが、まずは日常会話の際に「相手中心」を今まで以上に意識してみてはいかがでしょうか。